千本丸太町の南行きバス停留所から、南へ30mのところにあるマンションの１階にコーヒー山崎のお店があります。マンションが建ったときに、ここで開店をしました。

現在は、５年前にお父さんから店を引き継いだ山崎皓介（きょうすけ）さん（33歳）が、店主として店の切り盛りをしています。スタッフの女性と一緒に、お客さまの注文を聞いたり、コーヒーを入れたりと、忙しく立ち働いています。

コーヒー山崎は、通りに面した大きなガラス張りの窓から、店内に明るく光が射しこんでいます
広い店内はユッタリとテーブルが置かれています。その真ん中には、6人が掛けられる大きな楕円形のテーブルもあります。

このお店は、お昼時には「日替り定食（660円）」もお出ししているのですが、一人で入って来られたお客さまも、この大きめのテーブルなら、「相席」の気兼ねをすることなくお昼ご飯を食べることができます。
また店の奥には、全面がガラスで仕切られた「喫煙席」が設けられています。こちらも広くて10席余りの小テーブルが並べられ、ゆっくりと掛けられるスペースになっています。
昔は喫茶店と煙草は〝付きもの″でした。コーヒーカップを片手に、煙草の煙をフーッと吐き出すのが、喫茶店の光景だったと言えるでしょう。時代が変わっても、一服の煙草を求めるお客さまもいます。だから、禁煙席と仕切られたスペースはうれしい配慮です。

コーヒー山崎は、ご近所の方がちょっと立ち寄って一息入れる場所として、長い間親しまれてきました　近くには専門学校や企業などもあって、こうした場所で働いている人にも、お昼ご飯や憩いの場として存在していました。
　それがこの数年は、午前中の「モーニングセット」を提供している時間帯には、外国人観光客の姿が増えてきたということです。
　千本丸太町の周辺にも、外国人観光客が利用するゲストハウスなどが随分と増えました。こうした宿泊施設に泊まっている方が、朝食に訪れることが多くなったのです。
　月曜から金曜までは開店の8時30分から11時まで、「モーニングセット（460円と630円の2種類）」があるからです。またホットケーキのセットは、700円でお出ししています。だからメニューも、写真入りの英語のメニューを準備しています。

最近は全国チェーンのコーヒーショップが増えて、町の中にあった喫茶店を随分と見掛けなくなりました。そんな中でもコーヒー山崎は、一日中お客さまが途切れることなく来店されます。
コーヒーは、ブレンドコーヒー（400円）やアイスコーヒー（430円）もチェーン店よりは高くなりますが、そのかわり、席に座ってユックリと待っていれば、薫り高いコーヒーが目の前に運ばれてきます。これが喫茶店の良いところだと言ってもいいでしょう。
喫茶店はその存在自体が「無用の用」とも言える、日本の文化だと思います。喫茶店でくつろぐ時間は、もともと贅沢な時間だったということです。
だからコーヒー山崎は、これからもご近所の方に長く愛されてゆくお店でしょう。山崎さんにお話をうかがっている時も、サラリーマンの方が楕円形のテーブルで、書類を広げて仕事をされている姿がありました。
何よりも、キビキビと立ち働く店主の山崎さんの笑顔が、コーヒーの香りを一層引き立てています。
　【佐々木　雅一】